【足のお勉強⑬】歩行の第一歩
ここまでで、歩行の重要性はお分かりいただいたと思います。それでは実際に歩行するための準備をしていただきましょう。
ただし、関節の変形、骨の変形などのある方は、筋力がいくらついてもこの運動を円滑に行うことが出来ませんので、専門の治療を併用しなくてはなりません。ここでは、関節の変形、骨の変形がない場合の方に対するトレーニングをご紹介致します。
先ず歩行するための筋力をトレーニングしなくてはなりません。歩行中は必ず片足立ちの時期があります。すなわち片足立ちで身体を安定して支えるだけの筋力が必要となります。そこで我々は、一般的な運動不足、筋力低下からくる歩行障害の方には「足踏み運動」からご指導しております。
長さ1メートルの木の棒を体の前に掲げ、その場で「足踏み運動」を行います。手に持った棒を揺らさず行えるようになることが目的です。
運動療法
(1)裸足で行います。
(2)膝関節、股関節が90°曲がる程度まで足を上げます。
(3)背中を伸ばし、背骨の真上に頭が乗っているイメージで、着地した側のお尻の筋肉が緊張するように してください。
(4)ペースは、1分間に60回~80回ぐらい、多すぎても少なすぎてもいけません。
①は骨盤、両肩の傾きも少なく手に持った棒は垂直に維持されたまま片足立ちが出来ている○
②は右の腰が外側へスライドし体の軸も中心から外れてしまっている×
③は足も高く上がり、着地している足の股関節、膝関節が、しっかり伸び、腰も安定している○
④は足を上げると言うより、腰をかがめた様な格好になっています、着地している側の足は、股関節も膝関節も曲がったままです×
この足踏み運動は棒を揺らさないという目標を持つことにより、自分自身の身体安定能力を視覚的、客観的に判断できます。この身体安定能力が無いまま、闇雲に歩行運動をすることは大変リスクがあることなのです。
この基本的な動作が出来るようになることが、理想的な歩行運動を可能にします。