【足のお勉強②】歩行は省エネで
ヒトが陸上で移動するには、必ず地面をけることによって得られる力を(床反力)を利用します、その地面とからだとの唯一の接点が足の裏(足底)であることが、人体で特別視されるゆえんです。もし、足の機能が低下し足が、地面との接点として働かなくなったらどうなるでしょう?
例えば、強靭な筋力を持つマラソンランナーが、スケートリンクのような氷の上を走っているところを想像していただければ、お解かりのとおり。氷上を蹴っても蹴ってもからだは前に進みません。そのうちスッテンコロリンと転倒してしまうかもしれません。
歩行するには、からだを前に押し出し進む力(推進力)を発生させる必要があります。動かない地面にいかに効率よく足の力を伝えるかが重要なかぎとなります。そのためには、地面と足との間に十分な摩擦力
(地面をしっかりつかむグリップ力)が必要不可欠となるのです。先ほどのマラソンランナーも氷との摩擦が十分に得られる垂直ジャンプは出来ても、前後左右への動作は著しく低下します。
時々、散歩中の方で、頭が上下に大きく動く方を見かけますが、足のグリップ力の低下が起きていろことが疑われます。この無駄な動きは、脛やふくらはぎなどの筋肉を必要以上に使いすぎますので、太くなったり痛くなったりするでしょう。
ここで、間違えてはいけないのが、ヒトの合理的な歩行の中で意識的に地面を蹴りだす動作は一切ありません。一歩ごとに地面を蹴って歩いていたのなら、あっという間に筋疲労で歩けなくなってしまいますし、歩行モーションも崩れます。
ヒトの足は、自分の体重をかかとの骨をテコにして、ふくらはぎや足の裏の筋肉を自動的に緊張させると言う、まことに優れた省エネシステムを持っております。
体重により緊張した筋肉は地面に圧力を加え、からだを前方に押し出すのです。
「地面をしっかり蹴りだすように歩きましょう」これは大うそです。